接着剤としての膠(にかわ)

仏像の塗膜(とまく)の剥がれたところを接着するには糊が必要です!

ですが、ただの糊ではありません。私たちが普段使う液体糊やスティック糊、はたまた米粒なんかも糊として活用はできますが、剥がれた塗膜には膠を使います。

膠は、動物の皮革や骨髄から採られる強力な糊です。主成分は、コラーゲンという蛋白質の一種で、本来、接着剤としての用途が中心ですが、絵具や絵画下地のバインダー、また、膠をさらに純粋に生成した「ゼラチン」は食用や写真用にも使用されるそうです。

膠はガチガチに固まっていて、犬がガリガリと咥えて遊ぶものと似ています。それを熱で精製水で溶かして使いますが、寒い冬には不向きなものです。従って、室内の温度をかなり上げて膠が固まらないように工夫をして作業をしています。

湯煎をしてもなかなか溶けてくれない膠。